日本ではモノづくり、すなわち製造能力が日本経済全体の競争力の源であると言われています。そして海外では「MONOZUKURI」という言葉が外来語として定着し、製造に秀でた日本の会社の背景には「日本的モノづくり」という何か特別なアプローチやコンセプトがあると考えられています。

「日本的モノづくり」とその具象である「モノづくり会社」の正式な定義があるわけではありませんが、生産とその管理に優れていることがモノづくり会社としての基本的条件であることは間違いないでしょう。

私は、そうしたオペレーショナルエクセレンスに到達している会社が長期間にわたり自らの手法、工程、組織をKAIZENしてきたからこそ、卓越した業績、能力、地位を確立できたのだと確信しています。ミクロ面で言うと、自社の工程をKAIZENしようという継続的努力を払う企業が数多くあり、マクロ面ではその継続的改良の実績が経済全体の競争力となりました。そして 曖昧な言い方かもしれませんが、「モノづくり会社」というカテゴリーの出現につながりました。

継続的かつ長期的にKAIZENを図る能力はモノづくり会社の共通点です。その点こそが、まさにモノづくり会社の主要特性であり、生産に秀でている理由でもあります。したがって、モノづくり会社について語るなら、そこでは「KAIZEN力」がキーワードになるでしょう。

組織が継続的に改良していく能力の要素は4つの分野にまたがります。そしてその組み合わせが重要です。各要素の間の共生関係がモノづくり会社の優れ たKAIZEN能力を生み出しています。(これに関する考えは“エッセー”の中で解説しています。右側のリンクからご覧ください)(これに関する考えは"エッセー"の中で解説しています。下のリンクからご覧ください)

継続的KAIZEN活動は変化をもたらします。どの企業にとっても「チェンジ」とは挑戦であり、うまく遂行できることもあれば、失敗することもあります。そこで成功のキーを握るものはその組織のマネージャー、リーダーです。こうしたシステムの中でKAIZEN効果を得るために、彼らは4つの分野全てに従事します。

グローバリゼーションの結果、日本企業とその他の企業の相違が徐々に小さくなりつつありますが、「モノづくり会社」の特徴についてもそれが言えるでしょう。そうした中、唯一差が 根強く残っているのが4つ分野にまたがる「リーダーシップ」だと考えられます。KAIZENなどが一つの「グローバルスタンダード」になった中で、従業員のKAIZENに対する認識・モチ ベーションを高い水準に保てることが競争に勝つ要素になります。

「モノづくり会社」はバランスがよく取れたアプローチでKAIZENを行っているため、モノづくりで卓越している。そのコンテクストとある要素に着目すると、それぞれのKAIZENを「左脳型KAIZEN」と「右脳型KAIZEN」そして「トップダウン型KAIZEN」と「ボトムアップ型KAIZEN」に分類することができます。

「KAIZENのバランス・マトリクス」12ページの要約では、KAIZENとオペレーショナルエクセレンスの関連性について簡単にご紹介しています。その中ではマインドセットとリーダーシップというソフトファクターの重要性についても触れています。(もっと詳しく知りたい方は、その後の詳細まで是非読み進めて下さい。)